ほんのちょっとだけど
ほんの、ほんのちょっとだけど、
私のつくったものが、人からほめられたり、何かに載ったり
「あれをやってくれないか」と思わぬところから頼まれたりするようになった。
「おっと。なんだか、いい風だ。」なんて気もする7月。
思えば昨年8月か。
「もう、なんだかだめだなー」とぼんやり思って
会社を辞めることにして、
どうせなら気持ちが入ると思える事を仕事にしようと思ったのは。
義理もあるので「辞める事にしました」と周りに告げて
「すみませんが、先の事はなにも約束できません」と、話しながら
バレない様、電話越しに私は知れず泣いていた。
あの頃も、何が悲しかったのか、何をすまないと思ったのか
わかっているつもりでいたのだけれど、
今思うと、単に自分が可哀想に思えたからだけだったようだ。
今のわたしが、
あの頃より良いとか、正しいとか、立派だとか、言うつもりは無いけど、
「とにかくなんとか死なずにすんだ」かもしれないとは思う。
死なずにすんだというよりも、
「可哀想な死に方はせずにすんだ」という気持ちだろうか。
ほんのちょっとだが、わたしの終わりには、笑みが混ざっている様に思う。
いまだ色々なところに恨みや後悔は刺さっているけど、
「まぁ、忘れてやるよ」と、そのうち言えそうな気がする。