かつては35歳ぐらいで死ぬんだと思ってた
かつては35歳ぐらいで死ぬんだと思ってた。
これでは精神が持たないだろうと思った。
この歳の辺りで、いろんな著名人も死んでいる。
理由も様々。自殺もあり、事故、病死もある。
35歳ぐらいで、精神的に死ぬのだろうと思ったのは
仕事場で鬱病になったせいだと思っているが、
もっと遡れば、母親が病死して、家族や人生といったものに、
これといった期待をしなくなったせいかもしれない。
期待をしないというより、
全ての結末は悲哀にまみれているか、皮肉めいたものか...
とにかく、行く末なんてろくなもんじゃ無いと思っていた。
肉体的な健康や、精神的健康には、冷笑していた。
これらの健康に恵まれている人は、ある種の感受性が欠落しているために
しかるべき憂いを感じる事ができず、
苦しみ多く、恥多き状況にも平静でいられるのだと考えていた。
私の35歳周辺の時代というのは惰性、滑空の時代だった。
私の生活は、何も良くなる様には見えなかったが、
かといって、なにかの弾みで一気に瓦解する様にも見えなかった。
しかし、40を過ぎた辺りから、何もかも噛み合なくなってきた。
「厄年ってほんとにあるんだなぁ」などとうそぶいていたら、
すごい勢いで人間関係の殆ど全てと、経済面の殆ど全てが壊滅した。
気がついた時には、もう何をしても無駄だった。
結局、いろんなものの大半が無くなったが、意外なことに
昔、私が愛していたものたちが、次々と私の心に帰ってきた。
35歳かどうかは定かでないが、確かに私は精神的に一度死んだ。
ただ、死んだのは、もともとの私ではなく、私に取り憑いていた何かだ。